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『よろず建物因縁帳シリーズ』作家・内藤了さん

ミステリー好きのみなさまに、作家・内藤了さんのご紹介をさせていただきますね~。

作品全般がおすすめには違いないのですが、特にこのブログのホラーカテゴリー、神社仏閣和洋折衷器物妖物ページ系のお話がお好きな方へ、内藤了さんの『よろず建物因縁帳シリーズ』を、絶対的な自信をもってオススメいたします。

読んで間違いないと、私は思っているシリーズなんです。

蔵

まずはご紹介から

内藤了さんは『猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子シリーズ』に始まり、『夢探偵フロイトシリーズ』、『憑依作家・雨宮縁シリーズ』、『東京駅おもてうら交番・堀北恵平シリーズ』他、単発に小説を書いていらっしゃいます。

 

作家さんですが、地元長野県でデサイン事務所を経営されているということで、ちょっと個性的な経歴の作家さんなんですよね。

なので作品の中にも長野県関連がよく登場します(笑)

 

2014年に『ON』で、第21回日本ホラー小説大賞読者賞という賞を受賞されていて、この作品を改題して、藤堂比奈子シリーズの第1弾『ON 猟奇犯罪捜査班・藤堂比奈子』にて、作家デビューされました。

 

私は見ていないんですが、ドラマ化もされていて主演が波瑠さんになっています。

原作の藤堂比奈子がもともと私の中では女優というタイプの女性ではないですし、細身でもないので、波瑠さんは女優さんとしては好きですが、藤堂ひなちゃんに関してはう~ん… ちょっとイメージじゃないんですよね(^_^;)

 

内藤了さんの作品は、取り扱っているものがディープであるわりに、タッチは軽妙で、コミカルな面もあり、読みやすい文章です。

ただ、タイトルなどを見ていただければわかる通り、起きる事件や、その描写などは、かなりインパクトがある部分もございますので、猟奇的かつ陰惨なホラー的なものが苦手な方には、あまりおすすめできません(笑)

 

内藤了さんが得意とされるのは、主人公の成長を描くのがとても上手だということですね。

特にヒロインには、その傾向がシリーズを通して読んでいくと、よくわかります。

そして、キャラの個性が立っていること。

キャラ立ちは小説でもアニメなどでも共通して大事なことですが、主人公のみならず、取り巻く脇役たちのキャラクターがきちんと書き分けられ、個性をもって描かれています。

エンターテイメント性を大きく兼ね備えている作品が多いんですね。

 

よろず建物因縁帳

その中でも私の好みで、ダントツイチオシなのが、この『よろず建物因縁帳シリーズ』なんです。

一言でいうと、憑かれている建物の因縁話や出来事の謎を解いていく、 心霊的な描写も多いお話で、主人公は女性です。

 

民俗学的な見地、心霊的な見地、心理的な見地、建物の造りそのものからの見地、そしてそこに関わってくる人々の関係性、すべてにおいて、ホラーの要素を満たしています。

しかも小難しくないです。

たまにホラーでもとても難解な言葉を駆使したり、まわりくどすぎる表現をしていたりする作品に出会うことがあります。

読む意欲のある時にはそれはそれで、また魅力に感じたりもするんですけど、なんか疲れてたりすると、これはちょっとキツいんですよね(^_^;)

そのような感じですと、感情移入がしにくくなり、読むとますます疲れてしまい、おもしろさが半減してしまうという傾向があります。

 

でも、内藤了さんは違います。
文章が自然にテンポよく、スッと入ってきますので抵抗なく読めちゃいます。

特にこのシリーズは『和』ですし、怪談の要素も強く、お話全体の空気感がもう怪談ムードいっぱいに包まれておりますので(笑)

それを内藤了さんの持ち味である、タッチの軽妙さで、グイグイ興味深く引き込んでいってくれます。

 

そしてもれなくヒロインが上手に成長していっています。

自分の身に起きた出来事にとまどい、自身の心にもとまどい、想い、悩み、怒りながらも、すべてを糧にしていっているんですよね。

これは内藤了さんの他のシリーズのヒロインにも共通していえることです。

 

若干、最後、結論に達する時に急いでしまっている傾向があるかな~と思うところもあるんですが、それをしても、全体的に満足のいくお話ばかりです。

 

内藤了さんのミステリーにはアンダーワールド的要素があるので、一般的なミステリーの範疇には入れちゃいけないよなー、ミステリーとホラー半々だよなーと読んでると感じられると思います。

視点が独特な作家さんです。

まず、一気読み必至だと思いますよ~(笑)

 

登場人物たちの関係性を考えますと、ぜひ最初からお読みいただいた方がいいかなと思います。

 

私が本のご紹介をさせていただく時には、これから読まれるかもしれない方のために、あらすじやネタバレになるようことを極力、書かないようにしております。

最初からあらすじ知りたい~という方もいらっしゃるとは思いますが、私自身はネタバレは勘弁派なので、そのようにさせていただいていますm(_ _)m

 

それとこちらの作品は、Kindleアプリで読んでしまっているので(^_^;)、今回表紙などのご紹介ができず、イメージ画像だけアップさせていただいております。

それも合わせまして、ご興味のある方はぜひ、こちらから↓どうぞ♪

 

『講談社BOOK倶楽部』さまより、よろず建物因縁帳シリーズ全巻が紹介されています。

いちばん下の右がシリーズ1作目『鬼の蔵』、その左側が続き、またその上の段の右が、発表順になります。

 

★ 追記 : 導師とサニワ

内藤了さんの『よろず建物因縁帳』、6月に新刊の『蠱峯神(やねがみ)』が発売され、読了いたしましたので、シリーズを読まれている方には軽くお伝えせねば(笑)

とうとうやってきました、クライマックス間近!
ヒロイン春菜がサニワとしても人としてもさらにさらにパワーアップ、ぐぐんと成長を見せ、仙龍たちと共に本家本元、いよいよ隠温羅流の因縁をも解いていく…

ネタバレはいたしませんが、内藤了さん、本当にお話のもっていき方が巧みでしょうがない(笑)

読んでいるとまるでドラマを視ているかのように、ありありと場面が浮かびます。

特に棟梁の願いのシーンは、未来の過酷さを暗示させ。

もしかしたら次の巻が最終巻になるんでしょうか…? なってしまうんでしょうか!?(^_^;)

大好きなシリーズものってエンディングを読みたいという欲求もある反面、終わってしまうという一抹の寂しさも覚えるんですが、雨宮縁シリーズや東京駅おもてうらシリーズも私はけっこう好きなので、そちらにも期待して。

シリーズではないですが『ゴールデンブラッド』もおもしろかったですし。

いいですよ、内藤了さん。

まず外しません、この方は。

 

よろず建物因縁帳・堂々完結『隠温羅』

内藤了さんのこのシリーズ、とうとう完結、読み終わりましたので、ネタバレしない程度に感想を(^-^)

 

長いシリーズものが終わると、どうしてもロス感がつきまとうものですが、不思議とこちらは終わってスッキリ、いや、でも、けして終わったわけではない、と思えるような最後の仙龍と春菜の会話だったので、爽やかな温かい気持ちで読み終わることができました。

 

1話ごとに必ず隠温羅流の曳家をしますが、今回はシリーズ最大で最難関の曳家、最後を飾るにふさわしい、一世一代の難行とはこのことかと。

そのためへの伏線は、だいぶ以前から張られておりまして、主人公にあたる仙龍と春菜以外にも、重要なキーポイントにあたる棟梁の存在は、建物ではなく、人を率いていくためにいたんだと思えるものでした。

登場人物の性格も、ああ、そうか、このためのものだったんだと思わせる部分もあり。

読まれている方にはおわかりになると思いますが、あの某人物の変わりようは、笑ってしまうくらいの変わり方を見せ、人間てやっぱり一面を見ただけではわからないんだなぁと感じましたし、縁は円と内藤了さんは書かれていますが、まさにその通りのことが描かれています。

この現実の世の中も、縁は円かと思います(^_^)

 

ひとつ、某人物が隠温羅流の職人として認められ、○○という名前をもらいます。

これが今までの呼び名とはまったく違う名前なので、その名で呼ばれることに私は少し違和感があったのですが、内藤了さんはやっぱり読者側のその心理がわかっていらっしゃる(笑)

中盤から、元の呼び名に戻るんです。

これは最後を盛りあげるためにも、私たちが馴染んだ名前でないと感情移入が難しいですし、隠温羅流と登場人物の輪を思い描きにくいからなのではと思います。

そしてこの名前で最後の曳家をしなければ、彼は彼ではない、△△という名前をもらったけれど、やっぱり○ー○○は○ー○○なんだ、という意味ではと。

最後にはほんのりとした描写もあり、内藤了さん自身、もしかしてお気に入りのキャラだったのかな? と思いましたね~(笑)

 

どの人物も縁で繋がれていて、その人物の特徴を最後までキープしてけして崩さない。

あれぇ、この人、こんな人だったっけ? というブレや違和感がまったくなく、素直なキャラ立ちをしています。

あの人もこの人も… 無駄な人はひとりもいない。

 

そして神というものの気質といいますか、人の感情や道理は理解できないものの恐ろしさがよく表現されています。

人が神を遣うということは本来なら、してはいけないこと、できないことであり、神自身の妄執の激しさ凄まじさ恐ろしさ、読んでいてたまりませんでした(笑)

神に囚われてしまった人間の苦しみと末路、それをしてなおも欲で縛る神。。。

私はこんな神様には出逢いたくありません(笑)

でも、呪縛が解かれたら、もう隠温羅流は隠でなく、日のもとに。。。隠から明へ。

 

全体を通じて、ものすごく壮大な物語になっているのがわかりますし、読み続けてきたからこそ、さらにその壮大さがわかります。

私は時間がとれなかったので一気読みは残念ながらできませんでしたが、このシリーズを通して、特にこの最終巻の『隠温羅』は絶対、一気読み必至です!

本当に内藤了さんの文章はテンポよく、読みやすく、すんなりと入ってくるなぁ。。。

 

このシリーズはこれで完結となりましたが、今月発売のミカヅチ新シリーズもまた楽しみです。

内藤了さんはいくつかのシリーズを平行して書かれていますが、私は中でも雨宮縁シリーズの続きが気になっていて仕方ありません。どのような道筋を辿っていくのか、こちらにも期待をもって新刊を待っております。

 

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