シノワローザ空間

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怪談実話・昏い家(くらいいえ)

※  実話怖さレベル★★★☆☆

最高を★5つで表しています。

 

このお話、長~いです(^_^;)

長いですが、見出しなどで区切りますと、雰囲気がお伝えにくくなりますので、あえて長いままに、順を追い、お話をさせていただいております。

 

ひとにより読む速さも違いますので、◯◯分で読めます表記もしておりません。

どうぞ、お時間のある時にお目通しくださいませ(*^^*)

よろしくお願いいたしますm(_ _)m

 

不気味な和室


これは、知人の男性Aさんが、子供の頃に体験したお話です。

 

その当時、Aさんは小学校2年生、お父さん、お母さん、中学生のお兄さんとの4人暮らしでした。

ある時、鹿児島県のとある田舎の一戸建て、一般的な住宅に引っ越しをしたそうです。

 

周囲は鬱蒼とした森や雑木林などがあり、畑地で、道も細く、さらに細かく入りくんでいる土地で、子供がうっかり道をそれてしまうと行方知れずになってしまいそうな暗さのある場所でした。

 

この一戸建ては、Aさんのお父さんがひとりで不動産屋さんとの契約を済ませてしまったため、家族は下見には行っていなかったそうです。

Aさんはそれまで狭いアパート暮らしだったので、2階まである広い一戸建てに住めるのは子供心にもとても嬉しかったそうなのですが、Aさんのお母さんはその家に入るなり、この家なんか気持ち悪い… なんか嫌な感じがする、といっていたそうなんですね。

とはいうものの、さぁ引っ越してきた、とりあえず必要なものだけをダンボールから取り出して、というように新生活は始まりました。

 

初日は裸電球がふたつだけの、心許ない暗い夜だったそうで、かろうじて電球がついている1階の廊下から見上げる、2階への鉄砲階段は(曲がりのない真っ直ぐの階段のこと)恐ろしく暗く沈んだ感じがしたとか。

 

1階の居間にあたる洋間の、天井近くの梁(はり)には1ヶ所、なんのお札かはわかりませんでしたが、古いお札が貼られていました。

 

間取りもなんだか変わっていたそうで、1階奥にあるはずのお風呂場がなぜか潰されていて、物置にしか使えません。

肝心のお風呂場は、違う場所に新たに造られてありました。

 

さらに1階の和室には、和室だというのに、捻るとちゃんと水の出る蛇口が取り付けてあり、不可解さは増すばかり。

畳、障子、床の間の普通の和室なのはずなのに、蛇口。

その和室の隣りの、居間にあたる洋間とは、両方に扉がついていて、四つん這いになれば行き来ができるようになっていました。

Aさんは、そこをくぐって家の中を遊びながらグルグルと駆け回るのがとても楽しかったとおっしゃっていましたが、この高さのない両扉が、いったいなんのために作られているのかはわかりませんでした。

 

ここの家には庭に池もありました。

Aさんとお父さんは水槽に魚を飼っていたので、せっかくだから池を綺麗にして魚を放そうと、和室の蛇口からホースをつないで池の掃除をし、新しい水を張りました。

しばらくすると池が真っ黒になってしまったので、洗い方が足らなかったんだねと、もう一度洗い直してみましたが、なぜか数時間後には、水が真っ黒に。

 

頑張ってまた掃除をして水を張り、試しに魚を放してみると、しばらくしてから魚の様子がおかしいのです。

水の中なのに、口を大きく苦しげにパクパクとさせるので、慌てて魚を水槽に戻すと、普通に泳ぐのだそうです。

何がいけないのかと、また池の掃除をして新しく水を張り直し、魚を放します。

“今度こそいいだろう”

そう思った翌朝、魚は真っ白なお腹をぷかりと出して、浮いていたそうです。

なぜ掃除をきちんとしても、水が真っ黒に淀んでしまうのか、まるでわけがわからなかったとか。

 

それからしばらくして。

Aさんは高熱を出してしまったため、お医者さんに行くと風邪ではないということで血液検査をするから、家で安静にしていなさいといわれました。

それから高熱は3日ほど続き、徐々に下がって。

でも検査の結果は、異常なしだったそうなんですよね。

何が原因で発熱したのか、結局わからなかったそうなんです。

 

そしてまた、しばらくすると。

夜、お夕飯の片付けをしていたお母さんが、変なものを見たといい出しました。

薄暗い廊下を、人間の下半身だけが通り過ぎたと。

視界の端に、それが横切るのがわかるのよ… す… す、と。

ねえ、この家やっぱり変よ、とお母さんはお父さんにも話したのですが、現実主義なお父さんはそんなことがあるわけない、錯覚だろうと、信じてくれなかったそうです。

お父さんにしてみれば、きっちりと不動産契約をしてしまったわけですから、わからなくもないのですが。

 

それから約ひと月後、今度はお兄さんでした。

ある日の夕方、所用で出掛けていたAさんとお母さんが帰宅すると、お兄さんが意識をなくして廊下に倒れていたというのです。

なぜかはわかりませんが、体が冷えきっています。

慌てて介抱すると、お兄さんはどうにか意識を取り戻したのですが、本人がいうには、廊下を人間の下半身だけが通り過ぎ、それをたまたまここで見てしまったとたん、スーッと意識が遠退いてしまったのだと。

 

そのようなことが、立て続けに起こりました。

 

あんまりお母さんが怖がるので、同じ鹿児島県内に住む、お母さんのお兄さん、Aさんのおじさんが、つてを辿り、霊能者の方に視ていただくことになったそうです。

ところがこの霊能者の方は一歩家に入るなり、ガタガタと震え始め、とにかくこの土地がそもそもよくない、家もよくないものがあるから長居をしない方がよい、特に2階は、といいおいて、そそくさと帰られてしまったとか。

 

ここの土地は冒頭でも触れましたが、かなり特殊な地形をしていました。

民家は数件が軒を連ねている程度ですので、周りにはお店などはありません。

そこの住人の方たちも何か風変わりな感じの方たちだったそうです。

 

Aさん兄弟が外でキャッチボールをして遊んでいると、隣りに住むおばさんが自宅の2階から細くカーテンを開けて、ずっと見下ろしていたんだとか。

1度でしたら、たまたま何か気になることでもあったんだろうで済むのですが、遊ぶたびにじぃーっと張り付くように見下ろされていたそうなんです。

そこの家にはAさんと同年代の娘さんがひとりいらしたようなのですが、特におつきあいのようなものはなく、いつもいつも、Aさん兄弟が外で遊んでいると、おばさんが上から見下ろしていた… それが子供心にも何か不安というか不気味で、おかしさを感じたんですよね、とAさんはおっしゃっていました。

 

そうかと思えば数件先のお宅では、Aさんたちが遊んでいた道の脇に畑を作られていたそうなんですが、たまたまサッカーなどをしていてボールが畑に入ってしまい、作物の支柱を傾けてしまったりしたことがあって、慌ててそれを直したり、と子供らしいことをしていました。

すると夕方、その畑の持ち主の方がやってきて数時間、畑に座り込み、作物に向かって話をするのだそうです。

「…痛かったねぇ…ボールが転がってきたんだって…  ひどいことをするよねぇ…」

気候のよい時でしたので、家の窓は開けてあり、その畑の会話も長時間に渡りボソボソ…ボソボソ…と聞こえてきて、正直気味が悪かったそうです。

なんかね、そこ一帯に住んでる人たち、みんな変わってて妙な感じだったんですよ、とAさんはおっしゃられていました。

 

それからまた時を置いた、ある時。

Aさんのお兄さんはアトピー気味といいますか、アレルギー症状のようなものが出てきてお医者様から塗り薬を処方されていました。
ある日、ふと気づくと、首の周りに赤い帯みたいなものができていて、少しかゆみもあったそうなのですが、アトピーの塗り薬を塗ってみても治りません。

なんだろう、虫刺されでもなさそうだし、アトピーでもないし。

そのうち数日たつと、その帯の長さが少しずつ長くなり、広がってきました。

掻き壊してしまうというほどでもないので、しばらく様子をみていたのですが、ある日、Aさんのお母さんのお母さん、つまりおばあさんにあたる方ですが、が、それを目にすると、これはまずい、この赤い帯が一周したら命を落とすことになる、すぐに祓うといって、日本酒とお塩を持ってこさせ処置をしたそうなんです。
すると、その赤い帯はウソのように消えてしまったとか。。。

 

理由はね、わからないんですよ。

ばあちゃんがどうしてそんなことをいったのか、そんなことをしたのか。

でもばあちゃんは何か思い当たることがあったらしくて、あんたたちはまぁよくあの家に住んで、と苦笑していたんですよ、とAさん。

 

当時はAさんも子供でしたので、詳細までは知ることができなかったそうなのですが、あまりおかしなことがこのようにして続くので後日、やはりお引越しをされたそうです。

この家は不動産屋さんを通じての契約でしたが、そもそもは、そこの大家さんが住まわれていた家で、おそらく家の中を改造したのも大家さんだったのでは、といいます。

Aさん一家の前には一度、別の家族が住んだのですが、すぐに引き払ってしまい、その後に住んだのが、Aさん一家だったのですね。

 

大家さんがなぜ自宅であっただろう場所を奇妙に改造したのか、なぜ天井近くにお札が貼られていたのか、なぜ池が濁るのか、原因はわからなかったものの、あれはやっぱり引っ越してよかったんだと思います、とAさんはおっしゃられていました。

 

後から聞いたお話なんですが、昔その土地は屠殺場(とさつじょう)に使われていた土地らしい、ということです。

屠殺場は屠畜場ともいいまして、牛や豚などの家畜を殺して解体、食肉として加工する場所のことです。

この事と、その家やその土地に直接的な関わりがあるのかは、今となってはまったくわからないことですが、どうやら因縁のある土地だった、というのはありそうなお話ですね。

 

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